議員力検定・一般3級の練習問題
【解答と解説】
問1 住んでいるまちに不満があります。次の記述で法律的に間違った行動を、一つ選択しなさい。
- 自分が首長、議員に立候補して、よりよいまちをつくるよう努力をする。
- 自分の考えに近い人を、選挙で選ぶ。
- あきらめて、ほかのまちへ引っ越す。
- 地方税の支払いを拒否する。

解説
住んでいるまちのあり方を変えていくために、住民のひとりひとりにできることにはいろいろな種類があります。自分が自治体の政治や政策を担うという方法、選挙で投票して自分の考えに近い代表者を選び出して自治体運営を委ねる方法は、民主主義の政治運営の方法として教科書に書いてある典型的な手段です。自分にとってより暮らしやすいまちに引っ越すことも、住民としての意思の表明のひとつです。政治学ではこれを「足による投票」と呼びます。自治体運営にたずさわる人たちは、不満だからよそに引っ越して行ってしまう人ができるだけ少なくなるように、よそのまちから引っ越してくる人ができるだけ多くなるように心がけて自治体運営を行う必要があります。納税の拒否は、税金の使い方に不満があることを政治的にアピールする手段としては効果的な場面があるかも知れませんが、あくまで選挙で選び出した住民の代表者を通して不満を解消していくことが法的に想定された改善の手段です。
【一般】
問2 マニフェスト(政策)の効果に関する記述のうち、間違っているものを一つ選択しなさい。
- 数値などにより表明した政策が実現したかどうか判断できるので、政治家を評価でき、次の選挙に役立つ。
- 政策を言いっぱなしにできにくくなり、政治家としての責任を持つようになることが期待される。
- マニフェストを破っても制度的なペナルティはないので、マニフェストが効果をもつためには政治的に責任を追及することが大事である。
- マニフェストとはイタリア語で「はっきり示す」という意味で、発祥はイギリスであるが、日本では戦前に「公約」と訳されて用いられた。

解説
日本でマニフェストという言葉が使われ始めたのは、2003年の統一地方選挙からです。あえて「公約」ということばを使わず、目新しい外国語を使うことで、選挙で示される「政策」のあり方を、これまでとは変えようという考えがあってのことです。戦前からある「公約」という言葉には、選挙の時だけのもので、守らなくても問題ないといった風潮がありました。 マニフェストとは、抽象的なスローガンのような公約ではなく、実現されたかどうかが明確に判断できる具体的な形で政策を提示するものです。当選した政治家のマニフェストは、その後実行されたかどうかが判断でき、次の選挙の時には、有権者は結果の評価にもとづいて、続投の是非を判断できます。マニフェストを掲げる政治家は、掲げた内容に対して、これまで以上に明確な責任を負うことになります。ただ、マニフェストが実現されたかどうかの評価や、それにもとづいた行動は、制度によって定められたものではありません。有権者がマニフェストを手がかりにして、政治的な責任を追及する姿勢をもたなければ、マニフェストは政治的な効果を生まない可能性もあります。
【時事】
問3 「平成の大合併」といわれる市町村合併のブームが1999年頃から始まりました。当時の市町村数は3232。現在の市町村数はいくつか、正しいものを一つ選択しなさい。(2008年11月現在)
- 市 783 / 町 806 / 村 193 = 計 1782

- 市 935 / 町 663 / 村 387 = 計 1985
- 市 1062 / 町 986 / 村 98 = 計 2146
- 市 643 / 町 1018 / 村 549 = 計 2210
解説
特に町村の合併が進み、平成の大合併前には2500以上あった町村が、2008年11月にはついに1000を割りました。これに対して町村が合併して市になる例も多く、市は670から783に増えています。これにともない、町村議会の議員数は平成の合併前の2万人以上減少し、現在では全国で約1万4千人となっています。市の数は増えていますが、議員定数の削減も進んでいるため、平成の合併前後で市議会議員の数は大きく変化していません。このように、平成の大合併の結果、市区町村の議会で活動する議員の数は全体として大きく減少しています。
【民主主義】
問4 民主主義に関する記述のうち適切なものを、一つ選択しなさい。
- ギリシア語のデモクラティアを語源としているが、それは「議員の権力」を意味していた。
- 古代ギリシアでは、膨大な奴隷を含む民衆が集まって重要な政策を論じ決定していた。
- 今日の民主主義は、代表制民主制として広がっているが、直接民主制の制度化も図られている場合もある。

- ローズベルトは、民主主義の原理を端的に「人民の、人民による、人民のための政治」と表現した。
解説
1 デモクラティアは「民衆の権力(支配)」を意味していました。
2 古代ギリシアでは奴隷は民主主義の担い手ではなく、「市民」層だけが民主主義の担い手として政治に参加することができました。
3 正解:現在の日本では、憲法改正における国民投票や、特定の自治体だけに適用される特別法についての住民投票、条例の改廃制定や公職者の解職等についての直接請求制度などの、直接民主制の制度化も行われている。
4 「人民の、人民による、人民のための政治」はリンカーンのことば。
問5 憲法を変える手続きに関する記述のうち正しいものを、一つ選択しなさい。
- 日本国憲法下においても、明治憲法と同様に天皇だけが発議し公布する。
- 国会の衆参3分1以上の賛成で発議し、審議したのち過半数の賛成をもって成立し、 公布する。
- 現行の憲法には改正することができないという規定があるため、一切、改正することはできない。
- 国会の衆参で3分の2以上の賛成で発議し、国民投票によって過半数の賛成をもって成立し、天皇が公布する。

解説
日本国憲法は、一般の法律の改正などに比べて憲法改正の手続についてはハードルを高くしています。最高法規である憲法の改正については、慎重な検討と、広範な国民の合意が必要であるという考え方が、その背景にあります。また、日本国憲法が規定する政治制度の基本は代表制民主主義ですが、憲法改正の最終段階では主権者である国民の直接の判断の機会が設定されていることが、主権者である国民の意思の重さを示しています。
【議会】
問6 地方議会に関する記述のうち適切なものを、一つ選択しなさい。
- 世界の市町村議会の多くは二院制を採用している。
- 日本の都道府県議会と市町村議会はともに一院制を採用している。

- 日本国憲法には地方自治体は二院制を採用することが明記されているが、選出の仕方で議論が分かれて決着せず、いまだに一院制である。
- 日本の地方議会は、執行機関に対抗するために議員定数の2倍以上の職員を要する議会事務局を設置しなければならない。
解説
二院制は国政の議会で採用している国は少なくありませんが、地方議会では一院制が一般的で、日本でも同様です。(4)は、議会の活性化のためには望ましい方策ですが、現在はそのような義務づけは行われていません。小規模な町村の議会では、十名程度の議員に対して、事務局は2、3人という例も珍しくありません。
問7 地方議会の権限ではないものを、一つ選択しなさい。
- 条例を制定改廃すること
- 決算を認定すること
- 市町村では基本構想を議決すること
- すべての予算を調製し執行すること

解説
(1)から(3)まではすべて地方自治法で定められた、議会が議決しなければならない案件です。予算の議決も議会の権限ですが、その原案については知事、市区町村長が予算を調製して議会に提案しなければならないと地方自治法で定められています。また、予算の執行権も議会にはありません。
【地方自治】
問8 住民が、議会に対して要望等を行う方法として、請願や陳情などがありますが、次の記述のうち明らかに間違っているものを、一つ選択しなさい。
- 請願は、法律に規定があり、議会は必ず受理し、誠実に処理しなくてはならない。
- 陳情は、法律に規定がないので、議会は必ずしも審査する必要はない。
- 請願には、趣旨に賛同する紹介議員を必要とする。
- 請願が採択された場合、該当する関係機関によって必ずその趣旨に沿った措置が行われる。

解説
請願の権利は、憲法にも明記された国民の権利で、請願法や地方自治法によってその取扱が規定され、議会はその受理を拒むことはできませんし、誠実に処理しなければなりません。それに対して陳情は、法的に保障されたものではないため、議会によって取り扱いが異なります。請願とほとんど同じに対応する議会がある一方、陳情の一覧を議員に配布するだけで、審査を行わない議会もあります。請願が議会によって採択された場合も、採択した議会、その内容に関わる関係部局などは、誠実に対応する義務は負いますが、必ずその趣旨に添った措置が実行されることを法的に保障されているわけではありません。採択した議会による、その後の対応のあり方によっては、実効性をもつ場合も、もたない場合もあり得ます。
【選挙】
問9 選挙運動で禁止されているものを、一つ選択しなさい。
- 街頭で、たまたま会った人に投票を依頼すること
- 電話で、投票を依頼すること
- 会社の休み時間などに、そこにいる人に演説をすること
- 1日中、拡声器を使って街頭演説を行うこと

解説
身近に行われ、時として煩いと感じることもあるのが選挙運動ですが、公職選挙法では(1)から(3)については認めています。(4)街頭での拡声器の使用については、午前8時から午後8時の間に制限されています(公職選挙法第164条の6)。
【議員】
問10 議員活動として適切でないものを、一つ選択しなさい。
- 調査活動
- 本会議・委員会への出席
- 口利き

- 視察
解説
本会議・委員会への出席の他、視察や調査活動によって政策を検討したり、自治体政策の問題点を把握する活動が議員には期待されます。他方、特別な取り扱いを求める口利き行為は不適切な議員活動の典型といえます。




